株式会社 渡辺コンサルティングオフィス
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…渡辺コンサルの独り言…

(2016年3月6日付)

〜ウッカリは本当にウッカリ?〜

皆さん、今日は、早いものでもう3月! 先日、年が改まったと思ったらもう3月です。本当に早い! 実は、私も来月で還暦です。自分が還暦を迎えるなど考えてもいなかったのに現実のものとなってきました。サラリーマンなら定年退職です。いよいよ一日一日を大切に、しっかりと過ごしていかなければなりませんね。

さて、先日、ある大手さんに呼ばれてQMSの話をしてきたのですが、その企業さん、ウッカリやポカ、単純ミスが減らずに悩んでおられました。良くある話です。「○○を確認せずに送ってしまった。」 「○○を△△と勘違いし、ウッカリ作業をしてしまった。」 「見逃した。」 「忘れていた。」 云々。

そう言えば、昨年も東海地方のある小規模のメーカーさんに審査で伺った際に「クレームが減らない」と言って嘆いておられました。先週の埼玉県のあるメーカーさんも然り。私が見る限り、共通の要素が3つあると思います。

  1. 責任と権限が不明瞭で、トラブル対応のみならず様々な機能 (役割分担) が確立されていない。例えば、役員や部長職、課長、係長、主任、班長などがどういう責任及び権限 (与えられた裁量) を任されているのかが不明瞭。従って、全てに迅速に対応出来ないし、ルールが曖昧なため、本来はどうあるべきかが決まっていない。クレームや社内トラブルが発生したときも、誰が窓口で、誰の責任で原因を究明し、誰が再発・未然防止を行うのか明確に決まっていないから、いつまで経ってもクレームや社内トラブルが減らない。でも、忘れてならない点は、クレームや社内トラブル (不適合) はすべて損失なのだという点です。絶対に損益計算書には出てこない損失なのだという点は、繰り返しますが忘れてはならないですね。(決算で黒字だと経営者も安心してしまい、見えない損失がそのままになって仕舞いがちです。)
  2. 不適合が発生した際の原因の究明が不十分。「○○が何々してしまったので、こうなりました」 的な書き方が多い。何が発生したのか現象は書いてあるのだが、真の原因ではない。従って、原因を除去する事が出来ず、また同じような不適合 (損失) が発生してしまう。
  3. 手順化、標準化がされていないし、仮に作業標準があったとしても、それが徹底されていない。要は文書化とそれに伴う教育・訓練の問題。本来の正しい手順や標準が決まっていないから、原因の究明が難しい。「本来の手順はこうだよね! でも、実際はこうだったね!」 という議論が出来ない。

これらは別々に列挙しましたが実は同根であり、一つであって、いずれかが欠けても再発防止や未然防止には繋がりません。

もう一つ、考えなければならないのは、原因には異常原因と偶然原因 (不可避原因とも言う) の2つがあるという事です。シューハート管理図を勉強すると出てくる考え方ですが、原因には、異常原因といって見逃す事の出来ない原因と、偶然原因といって避ける事が出来ない原因があるというのです。これは性質上どうしても一定割合で発生してしまう。メーカーさんにお勤めの方ならば、この辺りはご理解頂けるのではないでしょうか? この偶然原因も不適合と捉え、原因を究明し、再発防止をしようとしても限界がありますよね。あまり面白くない。それよりも異常原因にしっかりと取り組んだ方が生産的です。ただ、この偶然原因も定量的に捉える必要があり、一定割合を超えてくるようだと異常原因として捉える必要が出てきます。この監視と判断が重要で、まさに “プロセスの監視及び測定” です。企業にとっては損失ですからねぇ〜。

話は戻りますが、上記の2、の例は本当に多いですね。“原因” ではなく “現象” を書いて済ませている。これは組織の規模の大小にかかわらず良くあるケースです。

よく “なぜなぜ分析” と言いますが、「何故を5回繰り返せ!」 と言いますよね。でも、これが出来ていないから 「○○を忘れてしまい、△△が発生してしまいました。」 的な書き方で終わってしまい、何故、○○を忘れたのか? この点が解明されていない。よく考えると、結局は責任の所在 (担当者) が不明瞭で、作業の標準化が出来ていないという点に突き当たります。また、組織によっては原因の究明から再発防止まですべて現場任せという組織もあります。やはり、組織が一体となって、不適合が発生する都度、原因を究明し、作業手順を修正し、文書化し、教育 ・ 周知し、再発防止をする、有効性を確認する。この一連の流れを作って行く必要があると思います。ただ一つだけ! “なぜなぜ分析” は、原因を人にもっていく傾向があるので注意が必要とも言われています。

それから3、ですが、前で書いた通りで、これもどの組織さんも苦手ですかねぇ。再発防止を目的とした手順の変更とその文書化がどうも上手くいっていない。きっと面倒なのでしょう。前述しましたが、不適合が発生したら原因を究明し、手順を変えて教育していく、再発防止とその有効性を見る。これら一連の手間が大変なのだと思います。それでなくても普段が忙しく、億劫になる気持ちは分かりますが、でも、文書化とその最新版管理の最大の目的はこの点にあります。誰でも、本来の手順 (最新版) が、読みたい時に読む事が出来る。(可用性) これは規格でも要求されていますよね。すべて損失の防止です。

最後に一つだけ、ISO9001:2008 の 8.5.2 是正処置では、明確に、是正処置とは 「不適合の原因を除去する処置」 と定義通りに書いてあります。正直なところ、原因が究明されても、直ちに原因が除去できる場合と出来ない場合 (年月が必要) があると思っています。杓子定規にはいかないですね。

さて、本日も業務多忙につき短縮ヴァージョンです。また来週!


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