株式会社 渡辺コンサルティングオフィス
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…渡辺コンサルの独り言…

(2016年5月29日付)

〜標準化と教育記録〜

皆さん、今日は、この “独り言” は毎週 150 〜 200 件程のアクセスがありますが、いつも多くの方々に読んで頂き、本当に感謝をしております。有難うございます。

ところで、もう5月も終わりですねぇ。今週から6月、本当に月日が経つのは早いものです。私は、7月中旬の夏休みを頂戴しますが、今年は小笠原の父島に行って来ます。東京は竹芝桟橋から南へ1000 q、行きも帰りも船で丸一日掛かり、こんな経験は初めてです。夏冬問わず、休みというと今までは沖縄や石垣島に行く事が多かったのですが、今年は父島。体験ダイビング (実は、ライセンスを持っていません) やシュノーケリングを通じてタップリと海を満喫してくるつもりです。楽しみだなぁ!

さて、教育の記録です。先日、コンサル先で 「教育の記録はいつ、どんな記録を取れば良いですか?」 という質問を受けました。結論から言うと「それを決めるのは皆さんです」という事です。

例えば、或る立ち食い蕎麦屋に渡邉というおばちゃんが入りました。毎日、蕎麦やうどんの茹で方、茹でる時間、使う器、“つゆ” の作り方に始まり、店内の掃除の仕方や冷蔵庫の温度管理、券売機や冷水器の管理等々、日々様々な指導を受けると思います。ところで! 立ち食い蕎麦屋では、これらの指導記録は作るでしょうか?
また、指導した事に対する有効性は、どうやって見ているでしょうか?

宇宙飛行士の訓練。宇宙飛行士となって宇宙に飛び立つまで、幾百、幾千の教育や訓練を受ける筈です。極めて高度で広範な知識や技術、緊急時の対応など数えきれない程のカリキュラムがあるでしょう。さて、これらの教育 ・ 訓練の記録は作るでしょうか?

そう、難易度によって教育記録を作るか否か、変わってきますよね。それは会社も同じ。その業務内容や難易度に応じて、与える教育も違う筈です。必要に応じて公的資格や社内資格も求められるでしょう。これらの教育の記録について、特にISOに取り組んでいない会社は、何の記録を取るかなんて悩んでいないと思います。必要だから取っている。それだけですよね。

教育 ・ 訓練の記録について、考えなければならない事は2つあります。

  1. 何のために教育の記録を作るのか?
  2. その教育の記録は何に使うのか?

「ISOが教育の記録を取れというから取っているだけで、教育の記録を何に使うかなんて考えた事も無い。」 という会社はいくらでもあると思います。実は、ここが問題なんですよね。だから皆、ISOが嫌になるのです。本当にその記録が必要なのか? その記録を何に使うのか? 諸々、一度改めて検討する事をお勧めします。先ほどの宇宙飛行士の訓練ではありませんが、本当に必要なら品質や環境といったマネジメントシステムの導入の以前から必要な教育の記録は作成している筈だし、いつ教育をしたのか、問題無くカリキュラムは消化しているのか? 教育 ・ 訓練の有効性は、誰が、いつ見るのかといった活動をしている筈です。もっと自然に考えて欲しいと思います。

会社は、売上と利益を生み出すために教育や訓練をします。ミスやロス、クレームは損失ですから、当然、損失の予防をし、再発を防止しようとします。これらも教育の一環になりますよね。そのために標準化を図り、作業やサービスのバラツキが出ないように取り組みます。

例えば、或る作業のやり方、進め方を社員に任せるとすると、出た “結果” はその社員の責任になります。
仮に、会社が標準化を進め、社員がその標準に則り作業をした結果 “不適合” が発生したとすると、原因は “標準” にある事になります。そこで初めて標準化した手順のどこに問題があるのか、再発防止をするにはどうすれば良いか、という議論が出来ます。という事は、標準的な作業について教育をいつしたのか、誰が、誰に、いつ、何を教育したのか。仕事の内容が高度で難しくなればなるほど、記録は自然に取っていると思います。
ところで、長年に渡り製造現場で活躍したベテラン技術者達。この人しか出来ない、分からないという仕事がありますよね。そして、このベテランさん達がいなくなって、技術レベルが落ちてしまう。これ、企業が持つリスクです。極めて現実的で身近なリスクです。これを何とか解決しようとしたのが、2015 年度版の 7.1.6 組織の知識です。

日本規格協会が出している ISO9001 : 2015 要求事項の解説の 7.1.6 組織の知識の解説は以下のようになっています。(一部抜粋)

例えば、ある作業において、特定の個人のみが良い製品を作る知識を保有しているのでは、その個人以外ではよい製品を作れなくなる。このような場合には、この特定の個人が保有している経験と知識を適用し、その人が行っている作業のやり方をもとにした作業標準を作成し、他の人に一定の教育、訓練を行うことで誰でもよい製品がつくれるようにする。この例では、組織内部を源とする、個人が所有する製品造りの知識が、作業標準として組織的な知識に集約されている。また、発生した問題を組織の知識として共有しなければ、問題の再発防止につながらない。このような場合には、発生した問題やその原因を組織の知識として集約し、対策を考える。

こういう解説になっています。力量の評価につながりますね。力量とは 2008 年度版では 「教育、訓練、技量、経験」 と4つに分けて考えていますが、“技量” が分かり難いという声があったのか、2015 年度版では “技量” を削除しています。

7.2 力量
b) 適切な教育、訓練又は経験に基づいて、それらの人々が力量を備えていることを確実にする。

クレームや社内の大きな不適合が発生したら、是非、標準作業を見直し、(面倒でしょうが) 文書を改訂し、その教育を現場にしてやって欲しいですね。作業標準などが長年に渡って改訂されていないケースがありますが、これは標準化を疑います。これら標準化に熱心な組織とそうでない組織では、不適合の発生状況は相関すると思います。「ISOをやっているのに何で不適合やクレームが減らないのか?」 という声を聞きますが、こんな点を検証してみては如何でしょうか? 要は教育です。

さて、今日はこの辺で。また来週!


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