株式会社 渡辺コンサルティングオフィス
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…渡辺コンサルの独り言…

(2016年6月26日付)

〜似て異なる二つの目的〜

皆さん、今日は、イギリスのEU離脱が決まりました。離脱による今後の影響については様々な憶測が飛び交っていますが、政治的にも経済的にも不確定な要素が飛躍的に増大したことは間違いなく、本格的な不安の時代が到来したという感があります。アメリカの大統領選で共和党候補のトランプ氏ではありませんが、分裂と対立の時代がくるのでしょうか? 以前、9 ・ 11 同時多発テロの時に 「あぁ、今、時代が変わった、節目だ。」 と思いましたが、今回のイギリスのEU離脱も時代の大きな節目になると思います。皆さんはどう思われますか?

毎週、本当に多くの方々からアクセスをして頂いています。改めて御礼を申し上げます。

先週、2件続けて審査があったのですが、その2件が実に対象的な組織でしたので、今回の独り言はその2社をご紹介します。尚、2社とも、規模こそ違いますが同族経営であるという点については同じです。

〔A社〕
都内一等地にテナントビルを所有し、その2階と地下を使って本社機能と一部工場を持ち、さらに千葉県内に工場を持っています。典型的な世襲の小規模組織です。
〔B社〕
都内の超高層ビルに本社機能を置き、埼玉県内に大きな工場を2か所持っています。

さて、この2社。同じ業種なのですが、決定的に違うのは、経営者がその仕事に情熱を持って仕事に打ち込んでいるかどうかという点です。

A社の経営者は 「兎に角、自分が稼ぐこと、儲けること」 が目的。今の仕事は親の代からの家業であり、社長自身、仕事に対する情熱や使命感は持っていない。結果として本業では売上 ・ 利益も出ず、社員の給料も安く退職者が相次ぎ、補充もなくモチベーションは低いのが現状。尚、会社は自社ビルのテナント収入もあり、経済的には困っていない。

B社の経営者 (お会いした事はありませんが) は昨年6月の株主総会で社長に就任し、「先ず動け!」 をキーワードに自ら業務革新の先頭に立ち、良い製品を産み出す事にまさに命を掛けています。業務改善のコンサルタントを入れて5Sを徹底し、生産性は大幅に改善。その努力もあり、前期は黒字に転換しています。また、この会社は技術力が高く、100年を超える社歴の中で、業界の世界的なコンテストにおいて金賞や銀賞を何回も受賞してきた実績があります。社員のモチベーションは高く、お会いした工場長は勿論、社員の方々の目が輝いていた事が強く印象に残りました。会社に勢いがあります。尚、この会社が受注する製品は技術的に難易度が高く、中々歩留まりが改善しない = 利益が出難いのが悩みで、この秋、外国製の最新鋭の設備の導入を予定しています。

皆さん、この2社の社長さんとその会社。どう思いますか? A社のような社長さんは沢山いるのではないでしょうか? 会社は自分のものであり、仕事は自分が経済的に豊かな生活をするための手段と思っている。社員満足など考えた事もないし、まして社員に感謝した事がない。

アメリカの心理学者でフレデリック ・ ハーズバーク (1923 〜 2000) の動機付け ・ 衛生理論をご存知の方も多いでしょう。この2人の社長さんは、まさにハーズバークの衛生理論の好例です。例えば、ある社員に置き換えてみましょう。皆さんの会社には、こういう社員はいませんか?

  1. 一人は、仕事以外に価値観を置いています。高級バックや高価な洋服が欲しい、カッコいい車が欲しい。海外旅行に行きたい。仕事は収入を得るための手段に過ぎず、社内でのトラブルや仕事でのストレスがあると、簡単に辞める事を考えるタイプ。衛生要因 (外部誘因) = 仕事以外に関心を持つ社員
  2. 一人は仕事に燃え、情熱を注ぎ、多少給料が安くても寝食忘れて頑張るタイプ。仕事自体に達成感とその満足感を得る事に価値観を見出しています。満足要因 (内発的動機) = やる気に満ちている社員

皆さん、どちらの社員が会社にとって必要か、直ぐに分かりますよね。b.のような社員を一人でも多くするために、会社は社員のモチベーションを如何に上げるかという点に心血を注いているのです。その社員のモチベーションを上げるためのアプローチを描いたのが衛生理論です。
ただ、実際には a. と b. の中間の人が多いんでしょうね。a. だけの人、b. だけの人というのはちょっと見当たらない。どちらのカラーが濃く出るのかという問題だと思います。今回、A社、B社の社長を取り上げましたが、これは社長も同じだと思います。ただ、一つだけ言えるのは、社員満足が高い会社は伸びる! これは明らかです。法政大学の坂本教授の 「日本で一番大切にしたい会社」 を是非、読まれると良いと思います。

さて、社長や社員の仕事に対する取組み方は、こういった面でも明らかになるのではないでしょうか?

<目的 ・ 目標>
3年後、5年後のウチの会社はこうありたい、という目的・目標があるとします。そのアプローチですが、
  1. 会社の体制や社員の意識を改革し、付加価値の高い製品やサービスの開発 ・ 販売に注力し、結果として売上 ・ 利益はこのレベルを目指したい、という “ビジョン” を目的 ・ 目標に置く会社。前述のB社社長。
  2. 3年後、5年後の売上 ・ 利益をこのレベルに持って行きたい。そのために現状の中で、この製品 ・ サービスをこのように展開したいという “売上 ・ 利益” を目的 ・ 目標に置く会社で、前述のA社社長。
この2つ、色々なご意見があると思います。「この1.と2.のゴールは一緒であり、どちらが先であっても企業経営なのだから、結果は何も変わらない。」 という意見もあると思います。しかし、私は以下のような決定的な、本質的な差があるように思います。
  1. は、先ず、市場を調査し、顧客満足や社員満足を優先し、会社を取り巻く状況の中で 「自分達はどうあるべきか」 を議論しています。所謂、“利他” の考え方。
  2. は、内向きの要求が先にあり、自分達の要求を達成するためにはどのような内外の課題があるのかを議論しています。所謂、“自利” の考え方。

ISO9001 : 2015 の 4.1 と 4.2 は、ご存知の通りで、4.1 は組織及びその状況の理解、4.2 は利害関係者のニーズ及び期待の理解です。こう考えると、前述のB社、まさにこの1.の会社の経営者は、顧客満足を高める製品及びサービスとは何かを追求し、ビジョンの達成を阻害するリスクを明確にして積極的に意識改革と業務改善に取組み、また、好ましい影響を増大させるための機会への取組みを通じて企業の目的を成し遂げようとしています。まさに、社長が先頭に立って付加価値の高い製品とサービスを顧客へ提供しようとしています。

組織はトップ次第! 今回はこの辺で。


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