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…渡辺コンサルの独り言…

(2015年8月2日付)

〜変動費と QMS ・ EMS 〜

いや〜暑いですね。最近、わが家の水道の蛇口をひねるとお湯が出てくるのですが、皆さん、如何ですか ?

さて、前回の独言で 9001 規格の大きな変更点に触れたのですが、もう少し書いておきたいことがあります。7章は “支援” というタイトルで、品質マネジメントシステムの運用に対する支援プロセスに関する要求事項が書いてあります。各項目を以下に列挙しておきます。

7.支援
7.1 資源
7.1.1 一般 7.1.2 人々 7.1.3 インフラストラクチャ 7.1.4 プロセスの運用に関する環境 7.1.5 監視及び測定のための資源 7.1.5.1 一般 7.1.5.2 測定のトレーサビリティ 7.1.6 組織の知識
7.2 力量
7.3 認識
7.4 コミュニケーション
7.5 文書化した情報

この中で書いておきたいのは 7.1.4 プロセスの運用に関する環境と、7.5 文書化した情報の2つです。 今回は 「 7.1.4 プロセスの運用に関する環境」 を取り上げます。規格要求事項全文は以下の通り。

7.1.4 プロセスの運用に関する環境
組織は、プロセスの運用に必要な環境、並びに製品及びサービスの適合を達成するために必要な環境を明確にし、提供し、維持しなければならない。
注記:適切な環境は、次のような、人的及び物理的要因の組合せであり得る。
a ) 社会的要因 (例、非差別的、平穏、非対立的)
b ) 心理的要因 (例、ストレス軽減、燃え尽き症候群、心のケア)
c ) 物理的要因 (例、気温、熱、湿度、光、気流、衛生状態、騒音)
これらの要因は、提供する製品及びサービスによって、大いに異なる。

皆さん、どうですか ? 問題は注記です。“環境” を幅広く考えてくれ!ということだと思いますが、特に、a) の “社会的要因” は、マネジメントシステムの構築にあたり何をすれば良いのか、すぐには思いつきません。差別の無い、対立も無い、平穏な環境で仕事をすること・・・。組織の活動について、品質マニュアルには何処まで書き、マネジメントシステムとして何処まで構築することが出来るのか ?
b) は何となく判るような気がしないでもないです。組織及び組織のために活動する人々の精神的、心理的ストレス (そう言えば、12 月から改正労働安全衛生法が施行され、ストレスチェックが始まりますね。) が、製品及びサービスに影響を及ぼさないようにしてくれ ! ということと理解します。企業にはメンタルヘルスケアの担当者や第 1 種 ・ 第 2 種衛生管理者の配置が法的に要求されていると思いますが、こういった面と関連付けて考えていく必要があると思います。
それにしても、QMSの幅が大きく広がったように思います。尤も、マネジメントシステム経営研究会も経理とMSの連動を提唱していますので、あまり他人のことは言えませんが・・・。

さて、ようやく本題です。今回のテーマにあるように、変動費とQMS ・ EMSの関係を考えたいと思います。2 回前の独言では、損益計算書の例を挙げ、変動費や固定費について、簡単な説明をしました。変動費の説明を再度、掲載します。尚、これは損益分岐点と関連付けた検証が不可欠です。

「変動費」 ・・・
仕入先や外注先など、外部に支払った (買った) お金。
例 : 主要材料費、副材料費、部品費、仕入商品費など
* 取引の都度、財布から払うお金。売上の増減により変動する。

このように、製品やサービスの提供を行うにあたり、その原価として外部に支払うお金です。例えば、製造業であれば例にあるように材料費や外注加工費、流通なら仕入商品、運送業ならばガソリン代といったところでしょう。9001 規格の 7.4 購買が直接的に該当しますが、外注先や仕入先の選定、評価及び再評価が重要なプロセスとなります。
さて、それは兎も角、マネジメントシステム経営研究会で大いに議論したい点は沢山あるのですが、例えば、次の2つは代表例です。

  1. 管理部 (財務・経理や総務) から製造 (販売) した製品毎の損益 (一覧) は出てきていますか ? そして、上記と関連し、この中で変動費をどう捉えているか ? 特に、変動費はEMSと直結します。仮に、赤字の製品が発生したとすると、何故、この製品は赤字なのか?赤字の原因は究明していますか ? 教育や力量の問題なのか、手順や段取りが悪いのか、器械 ・ 設備の問題なのか、受入検査に不備があり、不適合な材料がラインに乗ってしまったのか、営業や他部署との連携が悪かったのか・・・。
    何も、クレームや社内不適合ばかりが不適合ではありません。「不適合報告書」 には載らないものの、こういった赤字こそが本当の不適合 (機会損失) であり、しっかりとした原因究明をし、不適合 = 損失を低減していくことこそ重要な活動だと思います。
  2. 特に製造業ですが、ロス率 (原材料など変動費) の分析はしていますか ? (損益分岐点の算出) ある紙製品 (印刷含む) のメーカーの例です。一本 5,000 mの原紙 (原反) を印刷機に掛け、正しい色が出るまで試し刷り (刷りだし) をするのですが、原紙毎、オペレータ毎にかなりのバラツキが出ます。製品毎のロス率を見てみると 0.35 %から 10 %以上のかなり幅のある状況が確認されました。
    さて、皆さん、このデータから何を読み取りますか ? 因みに、原紙毎のロス率の基準値は設けていないという説明でした。しかし、考えて見て下さい。原紙にも高い原紙もあれば、安い原紙もあります。その中で、高い原紙のロスが 10 %以上となると、販売価格は決まっているでしょうから、利益の確保はドンドン難しくなることになります。仮に、5,000 mの原紙とすると 500 m以上のロスです。しかも、この現場の課長さんは、原紙が一本いくらか知らないと言うのです。これは教育や認識の問題で、あまりにもコスト意識が無さ過ぎます。中間管理職に対する教育や力量評価を考えるべきと思います。原紙毎にキチンとロス率(m)の基準を決め、何メートル以上ロスが発生したら不適合として原因を分析し、再発防止、未然防止 = 原価低減に注力すべきと思いますが、如何でしょうか ? また、前述しましたが、これら原紙のロス (率) 削減は環境問題と直結することを忘れてはならないと思います。

この他にも、生産現場や販売現場で、様々な数値 (データ) が算出されていると思いますが、様々な改善 = 原価低減に向けてQMSやEMSを活用していますか ? 研究会でこんな議論をしませんか ?

今回は以上です


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