株式会社 渡辺コンサルティングオフィス
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…渡辺コンサルの独り言…

(2015年9月6日付)

〜適合って何?〜

皆さん、今日は、9月に入り、関東地方はようやく太陽が顔を見せるようになりました。皆さんのお住まいの地域は如何ですか?

さて、表題ですが、規格要求事項に適合しているというのはどういう事なのか、改めて考えてみたいのです。皆さんも研究会に参加し、こんな議論をしませんか?

“適合”とは、一体何なのか?

ISO9001:2008 の1、適用範囲 1.1 一般 には、以下のような記述があります。

この規格は、次の2つの事項に該当する組織に対して、品質マネジメントシステムに関する要求事項について規定する。
a) 顧客要求事項及び適用される法令 ・ 規制要求事項を満たした製品を一貫して提供する能力をもつことを実証する必要がある場合
b) 品質マネジメントシステムの継続的改善のプロセスを含む効果的な適用、並びに顧客要求事項及び適用される法令 ・ 規制要求事項への適合への保証を通して、顧客満足の向上を目指す場合

この “ 9001 の目的” とでも言うべき2つの前提は、まぁ、色々と意見はあるかも知れませんが、私は、組織としてのあるべき姿を表していると思っています。例えば、a) の 「(前略)一貫して提供する能力を持つことを実証」 辺りは、企業としての信頼の根幹だと思います。また、マネジメントの原則 (8項目) と合わせて考えても、成程! と思わせるような普遍性があると考えています。そして、これらを組織として実現していくために計画し、実行し、その有効性を確認し、改善していく手段が規格要求事項なのでは? と考えます。皆さんは如何お考えですか?

ところで、今回のテーマですが、“規格に適合” していることにどういうメリットがあるのか、皆さん、議論したことはありますか?

例えば何でも良いです。内部監査やマネジメントレビューの実施、測定機器の校正、規格で定められた記録の作成、供給者の選定、評価、再評価、プロセスの監視とデータ分析、是正や予防の実施・・・。
これらを実施し、記録を取っていく事に、企業としてどんなメリットや意味があるのだろう? 規格要求事項だからと言われて作っている文書や記録、どれ位時間を費やしていますか? その労務費は計算した事がありますか? 費用対効果は出ていますか?

ところで、私はこの仕事を15年やっていますが、未だにスパっと答えられない規格要求事項があります。それは 2008 年度版でいう 6.2.2 力量、教育 ・ 訓練及び認識にある 「力量の明確化」 です。組織毎に 「スキルマップ」 や 「力量評価表」 「資格 ・ 力量認定表」 など色々なシステムを構築し、審査員から “適合” と言われていると思いますが、それらは本当に仕事の役に立っていますか?

よく見る 「スキルマップ」 は、一つの作業を分解し、「指示書の内容が理解出来る。」 「機械の調整が出来る。」 「製品の測定が出来る。」 といった類のスキルマップです。これを4段階で評価し、@人に教えることが出来る。A一人で出来る。B上長の下で出来る。C全く出来ない。(未経験) といった評価をして力量認定を行っているケースが大半です。しかし、最初の 「指示書の内容が理解出来る。」 「機械の調整が出来る。」 云々といったところで、じゃ、「それが出来れば、その仕事が出来るのか?」 というと、決してイコールではない。
分かり易く言えば、立ち食い蕎麦屋を例に取ると 「うどんを茹でることが出来る。」 「丼の区別が出来る。」 「冷蔵庫の温度管理が出来る。」 「かき揚げを作る事が出来る。」 だから、かき揚げうどんを作る事が出来るのか、イコールなのか? と言うとそうでは無い。かき揚げうどんを作るには、それなりのノウハウやコツ、要領が必要な筈です。しかも、お昼時で食券がずら〜っと並んだ時に、他の注文を平行して作りながら、同時にかき揚げうどんを手際よく、衛生的に、どんどん作って客に出していく力量が要求されます。これが、経営者が要求する力量ですよね。さらには、素敵な笑顔や愛嬌の良さ = コミュニケーション能力も必要かも知れない。

さぁ、そうすると立ち食い蕎麦屋のスキルマップは 「うどんを茹でることが出来る。」 「丼の区別が出来る。」 といった類のスキルマップでは本当に要求する力量が見えてこないという事になります。しかし、審査で随分色んな会社を見てきましたが、こういった 「○○が出来る」 的なスキルマップが大半ですね。もう一度申し上げる。こういったスキルマップで本当に仕事の役に立っていますか?

力量があるという事は、一人前に稼ぐこと、利益を出すことが出来る、任せられることが確認出来ることだと思うのです。だって、それで給料を貰っているのだもの。ただ、こういうプロ意識に乏しい会社が多いことも事実ですね。組織にぶら下がっている人が多い。

私は、スキルマップ一つ取っても、審査現場で随分こういった議論を組織側とします。しかし、審査員の大半は、「力量の明確化とその評価をしていますね、適合!」 といった審査が多いのではないでしょうか? ざ〜っと見て、メモして終わり。時間も限られていますし、限界があるのである意味で仕方が無いのですが、“それじゃ、適合って何?” と思ってしまうのです。規格で要求されている文書と記録があれば良いのか? それが適合なのか?

審査機関の審査員研修でも 「システムの有効性を見ろ!」 とよく言われますが、もう一つ、審査員自身が何処まで考えて、理解しているのか? 逆に、審査終了時点で審査所見 (コメント) を残して帰ってきますが、それら所見の意味 (組織にとって、その所見がどれだけメリットがあるのか) が組織側に伝わっているのか? 長年の疑問です。

組織側は、冒頭の黄色で囲った a) と b) を実現出来るシステムが社内に本当に構築されているのか? また、審査員も構築出来ているか否かをキチンと判断出来るのか・・・。疑問です。

話を戻します。先ほどのスキルマップの評価項目ですが、業界を問わず 「経験年数」 も一つの評価でしょうし、製造業であれば 「早さ」 「出来ばえ」 「精度」 「段取りと手順」 といった主要製品毎の属人的な評価項目を盛り込んでも良いかも知れません。同じく、土木・建築、航空宇宙、流通やIT関連など、産業毎に色んな力量評価基準がある筈です。研究会では、参加者の皆さんと本当に経営に役立つMSとは何か、といった議論をしたいのです。MSをどう使いこなせば会社経営の役に立つのか?

皆さん、どう思います?

今回はこれまで!


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