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…渡辺コンサルの独り言…

(2015年10月11日付)

〜内部監査 その2〜

朝晩大分涼しく、というより少し寒くなってきましたね。体調など崩さぬよう、皆様、ご自愛下さい。
今週は山形県寒河江市へ審査で行ってきました。やはり、関東に比べて朝晩はちょっと寒かったですよ。
寒河江市はサクランボの里、温泉地でもあります。宿泊先は寒河江駅から少し入ったところの 「割烹・旅館吉本」 大正11年創業の老舗です。現在は三階建のビルですが、外観も室内も純和風建築です。4人部屋を一人で使用。天然温泉は丁度良い湯加減で、当日、空いていたこともあって貸し切りです。久し振りにのんびりさせてもらいました。

さて、内部監査その2、です。この内部監査については審査先でも、やはり悩んでおられました。内部監査チェックシートを見ると、案の定、4章から8章までの規格をなぞったような質問ばかり。社内でもどうすれば良いのか色々と話し合うそうですが、良い手立てが無い。そんな状況だったそうです。これは同感! という方も多いでしょう。

プロセスにはインプットとアウトプットがある。或るプロセスのアウトプットは、次のプロセスのインプットである。良く、インとアウトの関係なんて言い方をします。

内部監査のアウトプットって何でしょう? そう、簡単。「内部監査報告書」 ですね。また、場合によっては不適合の指摘があり、是正処置と予防処置が取られ、「是正処置報告書」 や 「予防処置報告書」 になる事もあるでしょう。そして、これらはその後の会議やマネジメントレビューに提出され、報告と反省、そして経営者 (層) などから改善の指示が出る・・・、といったプロセスの連鎖が生まれます。(連鎖していますか?)

それじゃ、逆です。内部監査のインプットって何でしょう? これが分からないから内部監査は難しいのだと 思います。例えば、日常の仕事の中で、「これは次の内部監査で見よう!」 と思う事ってありますか? そんな意識を持ってISOの内部監査を考えている人って、少ないんじゃないでしょうか? つまり、ある程度、改まらないと内部監査のインプットって出てこないと思います。“品質の内部監査” という意識があるから、余計に何をやって良いやら分からない。こんなところが実際じゃないでしょうか?

これを労働安全に置き換えてみましょう。例えば、先月、第1工場で作業員が機械に腕を挟まれ、複雑骨折する大きな事故があったとします。当然、労働災害です。さて皆さん、事故直後の 「事故対策委員会」 やその後の安全パトロール (要は内部監査) で何を見ますか? 自然に考えれば、その後の再発防止策が有効か否かを、“単純” に見に行きますよね。検証する点は、どうですか、以下のようになるのでしょうか?

原  因:何が原因でこのような事故が発生したのか? 原因究明の妥当性を考える筈です。
状  況:当時の現場の状況はどうだったのか?
作業環境:現場の防護柵の設置や誘導、表示の仕方に問題は無かったのか?
機械設備:機械・設備の点検に問題は無いのか?
教  育:事故前と事故後の安全教育 (記録含む) の実施状況はどうか? 徹底されているのか。
認  識:まだ、現場の意識が低いままという事は無いのか?
手  順:作業手順書は実際の手順に準じて改定されているのか? 作業手順自体に問題は無いのか?
改  善:職場のその後の改善の実施状況はどうか? 果たして有効か?

ほら、労働安全衛生については素人の私でも、こんなに見るべき点が出てきます。じゃ、品質はどうですか? 例えば、先月、納入した製品全てが不良で、客先の生産ラインを止める重大なクレームが発生したとします。この場合、その後に実施する臨時の内部監査では、皆さん、何を見ますか? さらに、研究会のテーマでもある “利益損失” を含めた捉え方をすると、「このクレームで労務費、材料費、経費の直接費だけでもいくら損失を出したのか?」 という考え方が自然と出てきます。この視点で、先ほどの重大事故と同じような見方が出来ますよね?

<内部監査のインプット>
さて、内部監査のインプット(トリガー)は、例えば以下のようなものが挙げられます。

  1. クレームや社内不適合の再発防止・未然防止状況
  2. マネジメントレビューでの社長や経営層の指示のその後の進捗状況
  3. 前回までの内部監査の指摘・改善指示のその後と有効性(成果)
  4. 経理からの報告に基づく、経費の発生状況

この4、経理云々ですが、もう一度、経理とMSの連動について簡単にご説明します。この4、経理からの問題提起こそ、内部監査で見るべき重要な点と考えます。つまり、「随分、経費が掛かっているが、現場はどうなっているんだ?」 という事です。

MS側:不適合やクレームの発生件数・発生部署・発生原因と統計的な分析 (不良率・歩留まり)、生産 (計画 ・ 実績) の進捗状況、稼働率、操業度、在庫量など現場では様々なデータが取れるが、これらの中でどれ位余分な経費が掛かり、どれ位ムダな経費 (廃棄分含む) が出ているか分からない。
経理側:材料費、労務費、経費など、様々な金額は把握できるが、現場で何が起きているかは分からない。

このMS側と経理を連動させる事により、損益計算書には現れないムダな経費を炙り出し、利益率を改善し、損益分岐点を下げる活動=原価低減活動の一環。そのためにMSをどう使いこなしていくか、ノウハウを検証し、社会に遍く周知する事。これが当研究会の目的です。

企業規模が小さければ、社長も経理担当の奥さんも現場に目が届きますが、段々、組織の規模が大きくなってくると、当然、経営者 (層) は現場に目が届き難くなります。つまり、マネジメントと経理と現場が離れてしまう。何が起きているか分からない。まさに、この時こそ内部監査の出番です。原価低減活動の有効性を確認するためにも、内部監査で、現場で何が起きているのか? ムダなコストが、何処で、どのように発生し、原因の究明が出来ているのか、再発防止の有効性を確認し、客観的事実を持って社長に報告する。

これが内部監査ではないでしょうか? “経営者の問題意識” こそが一番のインプットです。「現場はどうなっているんだ?」 です。でも、経営者がMSに入っていないですよね〜。だから有効な内部監査にならない。

因みに、先ほどの審査先 (小規模組織) では、「ISOなんか忘れて業務点検です。ドンドンやっておかしなところを抽出して下さい。結果的に4章から8章にすべて入ります。」 と伝えました。また、「規格から現場を見てはダメ。」とも伝えました。(内部監査でチェックする事は、すべて4章から8章に入っていなければならない、という要求事項は無い。)

今回はこの辺で。


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