株式会社 渡辺コンサルティングオフィス
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…渡辺コンサルの独り言…

(2015年11月22日付)

〜組織の知識 (2)〜

皆さん、今日は、いや〜それにしても暑いですね。11月とは思えません。昨日、神奈川県は平塚市にコンサルで行ってきたのですが、日中の日差しの強い事!私は上着を手に持ち、Yシャツの袖をまくり上げて歩いていましたが、暑い、暑い。ふと、「今、何月なんだろう?」 って思ってしまいました。まぁ、日が落ちるとさすがに11月、それなりに寒くなります。土曜日から3連休の方もおられるでしょう。寒暖の差があるので、体調を崩さぬようお互いに気を付けましょう。

さて、組織の知識 (2) です。今週は2件続けて計4日間、審査で関東一円、あちこち行ってきたのですが、そのうちの1社で大変に良い取り組みをしていたのでご紹介します。メーカーさんです。

毎週1回、工場長から製造部長、製造各課 (各工程) の責任者が会議を開き、一週間の製造に関する打ち合わせをします。この会議では品質管理課が1週間の生産予定のうち、過去に不適合 (社内外) が発生した品目をピックアップし、これを一覧表にします。この “一覧表” が会議の中心です。議題は以下のとおり。

  1. 先週一週間を振り返り、不適合の再発防止活動の有効性の確認を行う。(是正処置のレビュー)
  2. 次に、今週一週間の生産予定の中で、過去に発生した不適合の内容確認、原因の再確認、再発防止策の徹底を行う。何処の課でどのような不適合が、どんな原因で発生したのか、損失金額はいくらだったのか? こういった確認を、新たな対策検討も含めて毎週徹底して行っています。

コンサルとしても勿論そうなのですが、審査員の仕事をしていて気になる事の一つに “是正処置の継続性” があります。いくらその場で是正処置 (再発防止策) を取っても、その対策が一過性なものとなってしまい、「喉もと過ぎれば熱さ忘れる」 で、徹底し切れていない。しばらく時間が経つと、また、同じような不適合が発生する。これが気になります。特に、何等かの変化が発生し、変化した時に継続性が途切れてしまう。

“変化”とは、例えば・・・。
@ 人の異動や退職があり、その時の状況を知る人がいなくなった。いつの間にかやらなくなった。
A 機械自体が最新式に入れ替わり、今までのノウハウの継続に意味が無くなってしまった。
B 新しい技術や素材が開発・導入された等々・・・。
これら変化の波を乗り越えられないようです。特に、人の異動や退職は “知識” や “無形のノウハウ” が途切れがちで、まさに今回の 「組織の知識」 はこの点を懸念しています。

前述の会社は、再発防止対策の継続性を持つ意味で大変に良い取り組みをしていると思います。これは、様々な企業で見習って欲しい活動ですね。

今回の規格改正の目玉の一つに 「予防処置」 という言葉がなくなった事が挙げられます。それでは 「予防処置はやらなくてよいのか」 というとそうではありません。マネジメントシステム、つまり、「組織の活動は、ある意味ですべてが予防処置である。」 という事です。損失の発生や企業にとって不都合な事態を招かないようにするためにも、教育をしたり、受入 ・ 出荷検査をしたり、外部供給者を評価 ・ 選定したりと、様々な活動をしています。この前述の企業の活動は 「予防処置はやっていますか?」 という質問に対して出てきた説明ですが、グットポイントとして評価をしてきました。ある意味で是正処置、ある意味で予防処置です。また、これこそ! 「 7.1.6 組織の知識」 が求めている活動の典型的な例とも言えます。情報の共有化ですね。

もう一つ、審査をしていて気になるのは、あるプロセス (活動) を監視 ・ 測定している事が、旧規格でいう 「 8.2.3 のプロセスの監視及び測定」、新規格でいう9、パフォーマンス評価の中の 「 9.1.3 分析及び評価」 に該当するという事が理解されていない点です。

企業は、日々、様々な活動を監視し、測定し、分析 ・ 評価を行っています。例えば、生産計画と生産実績の乖離、受注 ・ 出荷状況、歩留まりや稼働率など、企業の利益の源泉となる様々な側面を可視化して捉えようとしています。当然、損益の算出 ・ 傾向と連動して分析しています。
分析の方法は様々です。折れ線グラフや棒グラフ、円グラフ。各企業とも特に難しい手法は使っていません。せいぜい x−R 管理図 ( x バーが出ません) か、パレート図法が散見されるくらい。私は、この活動が先ほどの規格要求事項に該当するという理解が欲しいです。つまり、旧規格でいう 8.2.3 プロセスの監視及び測定から、8.4 データ分析に掛けての一連の活動なのだ、という理解が欲しいのです。

8.4 データ分析を根拠に私は聞きます。「ここからどのような予防処置に展開されていますか?」 「この分析から何を見出し、どのような対策を講じていますか?」 と・・・。(同じ質問を経営者に聞いても良い)

この質問に対して答えが出てこないケースがある。これが残念です。分析して終わってしまっている。そうでは無くて、ここから4M (教育 ・ 訓練、手順、メンテナンス、材料) + システムの改善といったプロセスに展開して欲しいのです。分析を通じて何が見えるのか、強みもあれば課題も見えるでしょう。これが経営者に報告され、組織の課題となって認識され、マネジメントレビューのアウトプットとして指示が出され、取組みの成果を内部監査で確認して経営者に報告する。この一連の流れを審査で確認したいのですが、分析で途切れてしまっている。

でもね! マネジメントシステムを導入しているからこそ! 経営者の自己流ではない組織運営が確立され、売上を伸ばし、利益を出すための体系的なシステム運用が可能になる。これがマネジメントシステム導入の最大のメリットなのではないでしょうか? つまり、企業経営のモデルとも言えるものなのです。
 ※9001:1994 規格だったか、表題は、確か “品質マネジメントシステム” の 「モデル」 というような言葉が付けられていました。“経営モデル” なのです。

最後に、マネジメントシステム経営研究会の基本的な考え方を改めてご紹介します。

MS側 : 不適合やクレームの発生件数 ・ 発生部署 ・ 発生原因と統計的な分析 (不良率 ・ 歩留まり)、生産 (計画 ・ 実績) の進捗状況、稼働率、操業度、在庫量など現場では様々なデータが取れるが、これらの中でどれ位余分な経費が掛かり、どれ位ムダな経費 (廃棄分含む) が出ているか分からない。
経理側 :材料費、労務費、経費など、様々な金額は把握できるが、何が原因でこの金額 (費用) になるか分からない。つまり、現場で何が起きているかは分からない。

このMS側と経理を連動させる事により・・・、

  1. 損益計算書には現れないムダな経費を炙り出し、利益率を改善し、損益分岐点を下げる活動 (原価低減活動の一環)。(好ましくない影響を防止又は低減する。)
  2. 品質目標の達成や良い品質を安定して提供する事により “売上” を拡大させる。(好ましい影響の増大)

これら、MSを使いこなす、例えば、クレームや社内不適合=損失の原因を究明し、再発防止=利益損失の再発防止を図る。未然防止=利益損失を未然に防ぐ。また、データ分析で傾向を掴み、改善すべき点を把握し、損益分岐点を左にシフトさせる。このようにMSをどう使いこなしていくか、ノウハウを検証し、社会に遍く周知する事。これが当研究会の目的です。
兎に角、会社経営のためのMSを使いこなすノウハウが無いし、知られていない。そう思いませんか?

今回はこの辺で。


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